【画像】近鉄の列車無線系統(鉄道ピクトリアル2003-1増刊号時点)

2017-8-11掲載開始

日本最大の路線網を持つ大手私鉄、近鉄ですが、列車無線の系統は大きく4つに分けられます。同じ周波数を利用して、大阪・名古屋線系統、そして、奈良線系統、天王寺系統となります。

いずれも周波数は3種類となりりますが、関東大手私鉄のような、小ゾーンではなく、大ゾーン方式となっています。即ち、同じ路線でも、区間で別々の系統となるゾーン、即ち、関東やJR方式と異なり、一線区で一括となるゾーンとなります。これは、関西私鉄では一般的な方式です。

大阪・名古屋系統は、同じ周波数となりますので、アーバンライナーでの線区切替操作が不要です。この境目は、青山トンネル、丁度西青山駅側のトンネル出入り口となり、トンネル内は名古屋、西青山駅は大阪となります。ここで、指令の管理も異なることになります。

奈良線系統は、奈良線の他、京都線と橿原線、生駒線と田原本線も含む、一括となります。けいはんな線は含まず、こちらは独自の誘導無線となります。

南大阪線系統は、この、狭軌区間一括となります。南大阪指令ではなく、天王寺指令となります。

この他、伊賀鉄道は大阪線と同じ周波数ながらも、「伊賀鉄指令」とコールサインで区別、養老線も、周波数は上記と異なります。四日市あすなろう鉄道は、どうも、奈良線系統の周波数らしいですが、未確認のため不明です。塩浜の局から送受信となる模様です。


で、今回、南大阪線天王寺系統で、変化がありました。上画像、葛城山局の出力が、25W→10Wに減力となり、その代わりに、橿原神宮前局の10W局が、新規設置されておりました。

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【画像】橿原神宮前局
丁度、18号線の付近にあります。まだ設置から新しい感じが伺えます。

葛城山局の25W→10W減力により、我が家があります奈良市西部では、メリット9当たりが、5当たりに減っています。即ち、沿線外にも意外と電波が届いていた、ということになります。

宇治市内で傍受の経験が過去にありますが、沿線外の余計な出力を減らし、受信状況の改善と設備更新の時期も兼ね、減力の代わりに、橿原神宮前局の設置ではないかと思われます。

ついでに、他の基地局の画像をお伝えしましょうか。撮影している範囲内となります。

【画像】生駒山局(25W/25W)
11年前に訪問したとき、看板等がなく、確証がありませんでしたが、どうも、この建物が、近鉄大阪、近鉄奈良系統の、生駒山局ではないかと思われます。

どちらも、25Wで、しかも山頂であるため、遠く、四国まで届く場合もあるようです。尚、現在は設備が更新されている模様で、アンテナも単一アンテナから、変化している可能性があります。

【画像】俊徳道駅から見た、生駒山局の位置関係
右から2番目がそれではないかと思われます。この左隣は、国土交通省、そして、在阪テレビ各局の送信所(左から、読テレとMBS共同・ABC・関テレ、NHK総合と教育)、一番左は、飛行塔の遊園地施設となります。

【画像】
左:上本町駅局(1W)
地上ホーム喫煙コーナー付近にあります。阪急梅田駅のようなLCXケーブルではなく、構内に簡単なアンテナとなります。
右:上本町地下局とみられるLCX(10W)
大阪難波-鶴橋間の局とみられます。

これらは、上本町駅局以外では、大阪系統に、奈良系統の音声が一緒に入る仕様となっています。要するに、大阪線直通の近鉄特急用、ということになります。ですので、大阪難波でも、大阪系統の周波数で奈良系統も一緒となります。奈良系統は奈良系統のみです。

この他、阪神なんば線開業により、桜川局も存在します。

【画像】
左:京都局(10W)
京都駅に、画像のような鉄塔が存在し、基地局の他、マイクロ回線の局もあります。この他、駅構内のLCXケーブルと一緒で一つの局となります。
右:高の原局(10W)
高の原から新田辺方向のみの、超指向性八木アンテナとなります。
この他、京都線には小倉局、新田辺局が存在します。生駒山では、送信よりも受信で難がありますので、沿線に局が存在します。何れも10Wです。

【画像】
左は河内永和、右は俊徳道の局ですが、列車無線局ではなく、周波数切替チェック局となります。コードレスホン波の微弱な電波で、河内永和は大阪系統、俊徳道は奈良系統の波を24時間出し、「ピロピロピロ」という音声で、特に、近鉄特急の線区切替失念を促すというものです。

同じような設備が、新ノ口短絡線(大阪系統)と耳成(奈良系統)がありますが、装置は画像と異なり、新ノ口に関しては、LCXケーブルの模様です。

奈良線系統では、この他、奈良局LCX(5W)、東山局LCX(10W)と、石切-富雄間の石切局LCX(5W)となります。橿原線と田原本線・王寺周辺は、生駒山からの見通しが良いため、受信も含めて、生駒山で賄える模様です。

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【画像】
左:榛原局
室生口大野方面のみの局、10W
中:名張局
25W、赤目口-伊賀神戸間、伊賀地域をカバーする。マイクロの名阪間の中継局もあり、名張は、近鉄でも重要な拠点であることが伺えます。
右:青山町局
10W、青山町周辺の山間部の局、この他、上津局(10W)LCXケーブルが西青山まで存在します。

他、関屋局(5W)は、河内国分-関屋間のトンネルと山間部により、LCXケーブル、朝倉局(5W)は、大和朝倉-榛原間のトンネルと山間部用、室生口局(5W)もこれと同様のLCXです。

【画像】
左:桑名局
ここからは名古屋系統となります。桑名局は10W、恐らく、養老鉄道用のアンテナ+局も兼ねているものとられます。マイクロは、米野にある名古屋局と塩浜局の中継局としての役割もあります。
中:塩浜局
恐らく、四日市あすなろう鉄道の局も存在とみられます。画像では分かりにくいですが、足場下にアンテナがある感じです。塩浜局自体は25Wと、四日市周辺をカバーする感じです。
右:若松局
鈴鹿線方向にアンテナが向けられています。10W。

【画像】
左:松阪局
25Wもしくは10Wではないかと思われます。
右:宇治山田局
10Wと思われます。画像では分かりにくいですが、八木アンテナがあります。

名古屋線系統では、この他、名古屋局(25W)、米野と名古屋駅構内LCX、白塚局(25W)、中川局(25W)、明星局(10W)、朝熊山局(25W)、西郷局LCXと加茂局(10W/1W)、青峰局LCX(10W)、穴川局LCX(10W)、湯の山線で桜局、伊勢石橋局LCX、東青山局LCXと、大ゾーン方式ながらも、中ゾーンに似た、沿線各地の基地局配置です。

【画像】
左:天王寺局
ここから、南大阪線の天王寺系統です。大阪阿部野橋構内は、このアンテナのみです。5Wの模様。
中:河堀口局
冒頭画像の図にはありませんが、河堀口局が存在します。大阪市内を一手に賄う局となります。画像左下は、50MHz帯の、葛城山局を結ぶ回線の模様です。10W。あべのハルカスの屋上ではなく、こちらとなります。
右:藤井寺局
25W、画像左上がそれです。右下は踏切用防護無線局です。

この他に、古市局(10W)、上ノ太子局LCX(5W)、冒頭の橿原神宮前局と葛城山局(各10W)、川西局LCX(10W)、薬水局LCX(1W)、尾仁山局LCX(1W)となります。


尚、列車側の出力は、全列車10Wと、関西私鉄では標準の出力です。基地局も列車局も出力も大きいため、JRのように、雑音で酷いという環境もないようです。

近鉄の場合、「通話試験」というのは、平日、限られた列車、局での交信となります。列車側のコールサインも存在しますが、乗務員室での掲示はなく、「指令無線制御器」の箱の中となり、容易に確認出来ません。

また、近鉄以外の関西大手私鉄であるような、出庫点検の都度、開局試験をするような考え方はありません。列車の本数が多すぎるというのも理由でしょう。

具体的な内容までは、法律の関係もあり、残念ながら多くは言えませんが、それ程の更新頻度はなく、大ゾーン方式もあってか、簡潔、程々、必要最小限という感じです。6,12,21時丁度、基地局側一斉の通話テストがあります(※名古屋系統は未確認) 基地局側に列車側の音声は入りません。(名古屋系統は、列車側の交信時、基地局の電波が一時的に切れる仕様、名古屋系統以外はそれはありません)


さらに、防護無線はアナログの報知式という簡単なもので、防護無線を受信したら、即、緊急停止させるようなシステムではありません。こちらの周波数は2種類で、標準軌、狭軌路線となります。大阪線と奈良線の防護無線周波数が一緒であるため、大和八木付近で、他路線の防護無線を拾ってしまうというデメリットもあります。この出力が比較的大きいため、離れた場所で受信してしまう場合もある模様です。

アナログですので、今後のデジタル化という話も聞こえてきません。当分、報知する防護無線で継続の模様です。


この辺りで如何でしょうか? 他の関西大手私鉄の状況は、また、後日まとめたいと思います。

私鉄車両編成表2017
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Rail Magazine (レイル・マガジン) 2017年10月号 Vol.409
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