「紹復大業」の文字、40年越しの悲願が、来年3月20日に達成しようとしている。
阪神なんば線ウォーク、特別版レポート
2008-11-26 24時更新
全掲載完了
2008-11-24の、振り替え休日当日に実施された、阪神なんば線ウォーク、あいにくの雨の中でしたが、ここにもあるように、当方、当選しましたので、行って参りました。
まず、先に書きますが、全体の印象としては、大部分の工事は、ほぼ終わっているようで、後は、仕上げと残工事、駅務機器の工事という程度の印象でした。つまり、駅は、エスカレーターやエレベーターは設置が終わっていますが、自動改札機や自動券売機、案内表示などについては、まだまだというわけです。
しかしなから、これら駅務機器については、自動改札機はバーなしのオムロン製、自動券売機はタッチパネル製、案内表示は、最近尼崎・魚崎駅で設置されたLEDなど、実績ある機器であるのは濃厚でしょう。
続いて鉄道施設、すでに、九条の変電所から、架線に、1500Vの直流電圧がかけられており、架線については完成しているようです。大阪難波~桜川付近では、未確認情報ですが、近鉄車による試運転により、入線を果たしている模様?らしいですので、この関連とみられそうです。
LCXケーブル(漏洩ケーブル)の設置も、ほぼ終わっていました。LCXケーブルは、列車無線用の通信用として、列車にある移動局と、指令所間との通信で利用されます。保守用や公共用などの目的もありますから、電波の届かない地下区間の、重要な設備となります。
信号やATSについては、後少しという段階のようです。特にATSは、A点、S点の位置決め(その標識の掲示位置等)の段階のようで、これからという所でした。ただ、京三製作所製の、信号そのものの設置は、ほぼ終わっています。
それでも、迫り行く開業日、刻々と近づいています。ウォーク当日では、残り115日となっています。本格的な動きは、年が明けて、阪神淡路大震災から14年目の当日、来年の1月17日(土)には、試運転開始の目標設定日のようです。これまでには、一連の工事も終わったり、関連機器の動作確認など、多くの課題をクリアすることになります。
さて、ウォーク当日は、10班に分けて、9時から30分単位で行われました。全体では400名の参加者ですから、40名程度で回るというわけです。このため、非常にゆったりとした見学でした。当方は昼過ぎでした。
鉄道ファンの方もいらっしゃいましたが、意外と、子ども、女性や家族連れなど、老若男女、参加者は幅広く、まった~りした雰囲気でした。関係者の方の「前説」も、ユーモアたっぷりで、親しみやすい雰囲気でした。参加者の方も、関係者の方に質問される方も多く、なんば線の関心度は高いといえます。
撮影画像ですが、200カットを迫るほどの多さであるため、文面の整理も含めて、1日に、全部の記事は、とてもお伝えし切れませんでしたが、一気に編集作業に漕ぎ着けました。現場の雰囲気だけでも、感じていただければ幸いです。
◆ドーム前駅
ホームの煉瓦はドイツから取り寄せたもの
◆九条駅
動輪をモチーフにした柱
◆地下線出入り口
近鉄奈良線よりもきつい、40パーミルの勾配で上下
◆安治川橋梁
安治川で橋梁ごと運ばれた
◆西九条駅
◆もらい物
◆ドーム前駅
ホームの煉瓦はドイツから取り寄せたもの
当方は、昼過ぎにドーム前駅受付に集合でした。あいにくの、降ったり止んだりの、中途半端~な天候下ですが、今日を逃すと、開業日まで待つ必要がありますので、自転車通勤時に使っている、雨カッパをも持参しての参加でした。たいそうな装備ですが、一時の恥、何も気にすることはありません。
受付では、ここにもあるように、封筒ごと渡しますが、封筒のみ回収されて、中の当選通知は持って帰れました。手首に巻く参加証を装着し、工事用のヘルメットと市販の軍手が渡されて、テントの中で着席し待機しました。
すでに、西大阪高速鉄道の方が前説をしたり、参加者と談笑をするなど、気軽な雰囲気でした。多くは、阪神や近鉄沿線住民とのことですが、中には近畿一円、そして首都圏や、はるばる、沖縄から着たという強者もいたとのことでした。
この間を利用して、カッパを着まして、やがて、阪神側からの説明となりました。
「ヘルメットは最後まで装着して欲しい。傘は危険のため、雨カッパを着て欲しい。歩きながらのビデオ撮影は、足下に段差カ所があるなどで危険である。架線はすでに電気が通電されているので、傘などで触れないでほしい。トイレはなく、終了まで禁煙である。係員の指示に従ってほしい。」
などの、注意事項でした。
そして、関係者の方も同行し入場。いよいよその瞬間です。
入場したドーム前駅、来春以降も、京セラドーム大阪での阪神戦が見込まれ、観客輸送を一手に担うことになり、地下鉄長堀鶴見緑地線との連絡通路も設けられる他、出入り口も2カ所あります。
改札口は、上画像右となりまして、丁度、福島駅と同じような、オープンカウンター型の有人改札口となります。京阪中之島線では、これを硝子で覆い、小部屋にしていますが、阪神では開放型です。自動券売機スペースは、左画像となります。
尚、駅長室のような部屋や、定期券売り場のような部屋は、確認できませんでした。
個人的な推測ですが、甲子園と同様、多客が見込まれますので、駅長室が設けられるのではと思います。西九条か、ドーム前か、どちらかでしょう。
おそらくは、アンスリー等の商業施設や、タイガースショップのような施設も出来るのでは、と思います。詳しく質問すればよかったかもしれませんが、撮影に夢中でした…。スミマセン。今後の公式発表を待ちましょう。
【画像】
左:改札口
背面は、甲子園球場をモチーフにしたもの。改札外にあります。撮影カ所(当方がいるところ)は、改札内となります。同じ地下駅の福島駅だと、照明が暗いのですが、ここはさすがに、明るい構内です。
右:ホームと改札の間、一旦、踊り場となります。エスカレーターは上下ともあります。それにしても、この開放感は素晴らしいです。
【画像】
左:踊り場付近(改札方面)
階段を降りました。手すりは、京阪中之島線と同様のデザインです。ユニバーサルデザインを取り入れたとのこと。確かに、握りやすい印象でした。
右:踊り場付近(ホーム方面)
ホーム方面を除くと、画像の通りとなります。煉瓦は、ドイツから取り寄せたもので、壁一面にあります。列車無線や通信用のLCXケーブルを始め、電車線もすでに、設置が終わっています。架線は、ピカピカの銅線です。
電車線は、画像のように、コンパウンドカテナリー式と呼ばれる、高速走行に適した構造ですが、吊架線が、電流容量の大きいツインタイプとなっています。
剛体架線ではありませんので、JR東西線のように、2台のパンタグラフも不要ですし、近鉄難波線でも、剛体架線ではありません(阪神も、梅田や三宮地下線でも同様。但し福島駅付近地下線のみ、規制緩和により剛体架線が採用)ので、実績ある架線に落ち着いたようです。
【画像】
さて、ホームです。画像の方向は、大阪難波方です。
左画像右は、西九条、尼崎方面の下り2番線になる側です。天井部分は、水銀灯による照明です。感じとしては、学校体育館のような感じでもあります。天井が高いため、圧迫感はありません。
【画像】
エスカレーターや、エレベーターの長さが長いのが分かります。エスカレーターはフジテック製、エレベーターは日本オーチス・エレベータ製でした。隣の九条駅でも、同様のメーカーでした。公共施設での実績があるメーカーですから、まあ、無難な選択でしょう。
【画像】
どちらも、西九条方面です。左が西九条方面下り2番線、右が大阪難波方面上り1番線となります。
一部では、駅名表示もすでに設置されており、阪神の多くの駅にある駅名表示と、全く異なるタイプでした。
他の駅にも波及するかどうかは分かりませんが、デザインとしてはいいと思います。表示類の設置はここのみでして、試験的な意味合いもある模様。駅名表示一つでも、イメージが変わりますね。
【画像】
ドーム前駅のデザイン図、完成後はこのような駅舎になるわけです。
【画像】
左は、大阪難波方面の上り1番線、9~10両目付近
右、これは、ベンチの基礎の部分。ベンチそのものの設置は、これからとのこと。
【画像】
ここからは、トンネル内に入ります。ウォークでは、下り線路を利用して行われました。開業後は、立入禁止となり、入ると、えらいことになりますので、貴重な経験をさせていただきました。
ケーブルを収納する箱は、蓋が全部開いておりますので、まだまだ、収納するケーブル類があるようです。信号やATS、電力関連を始め、社内LAN、駅務LAN、指令用FDDIなどの光ファイバー線も、収納されるかも知れません。
この間、32.5~35パーミルの上り勾配になりますが、歩く分は、それほどきついものではありませんでした。
【画像】
キロポストについては、壁面に接着するタイプで、その他の標識も、ご覧の通りです。キロは、尼崎からの通し起点ではなく、西九条を起点にして、大阪難波へと向かいます。これは恐らく、設備自体が、西大阪高速鉄道にある関係かも知れません。
曲線標(左画像の160)が160とあり、R160のカーブとなりますので、60~75キロ前後の速度制限を受けるかも知れません。
右画像の勾配標も、画像の通り、この曲線は「ドーム前西曲線」という名称のようです。ちなみに曲線については、この他もそれぞれ名称があります。
ドーム前から、隣の九条まで、意外と近くにありまして、歩くとすぐに着いてしまいました。地上でも確かに、歩くとすぐです。右画像は、九条下り場内信号機(5現示式)です。
◆九条駅
動輪をモチーフにした柱
すでに、NTTビルがある出入口も、40年の歳月を超えて、やっとその役割を果たした九条駅、ここでは、変電所が設置されるなど、列車を動かす上での重要な拠点となっています。
西大阪線部分は、以前は、尼崎と西九条に変電所がありましたが、現在は、大物の高架下に統合されています。これのみだと、電力の容量面もありますから、九条に設置されたことになります。これで、なんば線部分全体をカバー出来ると思われます。(他、近鉄との境に、会社間とのセクションの設置でしょうか。)
【画像】
左:下り線大阪難波方、九条駅に到着しました。
右:これは上り線大阪難波方
【画像】
どちらも、上り線で、西九条方です。
全体的にホワイトトーンのデザインで、たこ焼きを作る機械のような、穴のパターンにより、アクセントとなっています。
【画像】
上り線大阪難波方、右が、動輪をモチーフにしたベンチと、スポット照明
【画像】
左:東端付近の改札口階段
右:下り線中央付近、画像内の信号は、九条下り出発信号機に対する、中継信号機です。尚、地下区間の中継信号機も、通常の閉塞信号機と同様ですが、一番下の現示が紫表示となり、これが、中継信号機の目印となります。梅田や三宮の地下線をみると、わかります。