2019-12-24 2:30更新

さよならテレビ 社内は抵抗、でも撮った報道の「恥部」:朝日新聞デジタル 

「愛知県名古屋市東区東桜一丁目14番27号」という地名は、名古屋市民以外ではピンとこないが、要するに、である。名古屋駅前周辺と並んで、有数の繁華街であり、ビジネス街である、栄の近くに東海テレビの本社がある。NHK名古屋放送局や、CBCにも場所的に近い。

で、この記事には驚いた、テレビ局の内部、入りがたいと言われる「報道部」を対象にしたドキュメンタリー映画である。予告を見ただけでも、相当なリアル・伝わりようである。


【動画】実際の動画

そもそもの根本は、この、いわゆる「セシウム事件」であろう。「セシウムさん騒動」とも言われているが、2011/8/4(木)の11:03頃での、東海三県(愛知・岐阜・三重)で放送の、生放送番組で発生した事件である。

この5年後、映画の制作が東海テレビ側で始まったようで、来年正月早々に公開となるようですが、報道局というのは、自ら取材対象に趣いて撮影させて頂くことは多くあっても、「自分たちが取材される」ということは皆無に等しい。これが現実でもあります。

社内でも、特定の関係者しか入れない閉鎖された空間となります。当然、視聴者は勿論、社長ですら、簡単に入れる場所ではありません。それ位「聖域」であると言えます。

"鏡を見て己を知る"とは、仏教の世界でよく言われる言葉らしいですが、発信する報道部が、発信される側になって何を知るのか、日頃どんな姿なのかが、テーマであり、この映画の問題提議でしょう。

即ち、関係ない人達から見られる「第三者的業務評価」だろうか。「隣の芝生は青い」は、例えが間違っているかもしれないが、分かりやすく言えばこういう例えだろうか。

【動画】予告編

ところがこの東海テレビの社風だと、予告編から見ても、笑顔のないギスギスとした職場であると感じた。故、あの「セシウム事件」の原因は何だったのかも伝わってくる気がする。

しっかりと認識していれば、あのような事件は当然防げたはずである。でもそのまま放送してしまい、「これはダメ」ということを、事前に防ぐことすら、まるで出来なかった。

当日の福島アナも、放送してから、事の認識を、頭に直接落雷に撃たれたような強い衝撃であったことだろう。

これは雇用形態とか、働き方改革といった、最近よく言われる一連の問題ではないと思う。即ち、毎日の仕事を舐めきっていた結果論故の問題だろう。"東海テレビ放送株式会社の常識は、世間の非常識"というのを、テレビジョンという道具を用いて、東海三県のみならず、YouTubeまで拡散し、世界的に、市中引き回しとなった訳である。


その、セシウム事件当時に番組に出演していた福島アナは、実は、私の小学校時代の同窓ということもあってか、この事件には強い衝撃を憶えました。家も近所だったこともあってか、何度か喋ったことはあります。

なかなかの好青年で、悪い話は一切聞かなかった。更に一言で言えば「明るくて、いい奴」の典型でしょう。悪口とか、喧嘩っ早い性格は全くなし。他の番組に出演時の、あの、キャラクターそのものです。だからこそ、就職難世代の我々でも、難関のアナウンサー試験に突破したのでしょう。天命だったのかもしれません。

あの事件の直後、速達郵便で、福島アナを激励する手紙を送った位です。返事はなかったが、読む読まないを問わず、届いたことは間違いないでしょう。それだけでいいと思ってます。

そんな彼が、あの事件以来、アナウンサー職を辞することもせず、今でも東海テレビに在籍し、悩みながらもテレビ出演、仕事している姿には、救われた思いもする。頑張っている姿は、必ずや、視聴者にも好印象で伝わるだろう。

だからこそ反省すべき所は反省し、自らを律し、テレビ・放送改革をしないといけない。このままだったらテレビ局ですら倒産してしまうという、危機感をも抱くべきである。ネットメディアの今だからこそ。

業務上の信頼を失うのは本当に一瞬でも出来ますが、信頼を取り戻すのは、本当に長い時間が必要です。ですから、自らの職場をテーマとしたこのドキュメンタリー映画の制作には、相当な苦労はあったでしょうが、作ったこと自体、大いに評価すべきであると思います。

テレビ番組というのは、やっばり「笑顔ある職場で、楽しくなければ意味がない」と思います。それらが、使命感と言いますか、何のために仕事をするのか、イコール、充実感となり、テレビ番組を見て頂けることにも繋がるだろうと思います。

これを忘れているのが現実でもあります。私のテレビ業界時代もそうでした。一週間近く風呂に入らず、ひたすら仕事をし、体調を崩してやっと認識する有様でした。

だからこそ、久々に映画館に入って見てみたい映画、楽しみが出来ました。見た感想はまたブログに書くことが出来れば…。