【画像】南海線樽井-尾崎間の位置関係
上記地図、リバースという、紙のリサイクル工場の近くにあるのが「男里川橋梁」となります。
赤線が代行バスのルート、青線が徒歩による推奨ルートです。
2017-10-28掲載開始
2017/10/22、台風21号による男里川氾濫により、南海線樽井-尾崎間、「男里川橋梁」の下り線橋脚が沈下するなど、甚大な被害となりました。これにより、樽井以北、尾崎以南と、南海線が南北に分断された形となっています。
事故列車は、10/22(日曜日)、6867列車(難波15:13→和歌山市17:07)の、普通列車の模様です。充当編成は7185×4両編成、恐らく、この列車以降の上下列車は、全て、運転見合わせとなったことでしょう。
尾崎-和歌山方にいる編成は、当方の10/25の現地確認では、1007、8002+1036、8301+8701、8307+8708、1031+1035、2001、7133+10010の、本線車両40両と、多奈川線、加太線、和歌山港線の2両8編成16両(※2202,2233を除くワンマン全編成)の、計56両となります。
しかし、南海線自体、当日は、既に、台風によるダイヤ乱れがあった模様です。
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【サザン・南海本線】運転見合わせ[14:26更新]14時00分頃、孝子駅付近で発生した線路冠水のため、みさき公園~和歌山市駅間で列車の運転を見合わせております。運転再開は現在未定となっております
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事故発生前に、孝子の線路冠水により、既に、みさき公園以南の運転が出来ていなかったことになります。孝子駅の自動改札機が、降雨による水侵入があった模様です。
さらに…
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【サザン・南海本線】運転見合わせ[17:01更新]16時40分頃、樽井駅~尾崎駅間の橋梁の線路故障により、現在、羽倉崎駅~和歌山市駅間で列車の運転を見合わせております。運転再開は現在未定となっております
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ということになりますから、まずサザンは、孝子の線路冠水の時点で、既に、全列車運転取消となった可能性があります。
ですから、和歌山市にいる7133+10010は、530列車(和歌山市13:59発)充当予定の編成だった可能性があります。(521列車はみさき公園で折返しの可能性、以降も順次取消し羽倉崎入庫か)
6846列車(2扉)は、孝子付近で冠水に遭遇、または、回避の可能性があります。その後の6848列車(和歌山市14:09発)と、次の6850列車(同14:22発)(何れも6両)は、上記、6両4編成の何れか2本とみられます。6845列車以降はみさき公園(14:09着)で折返しでしょう。
孝子の冠水から男里川橋梁の線路支障の間は、普通列車のみの運行だったものとみられ、6866列車(尾崎16:51)発の6両編成が、尾崎で抑止、6865→6868としてみさき公園折返しの編成が、6865列車所定2扉、2001の可能性があります。
6864列車は、事故当該の6865列車の前に、上り線すれ違いの車両とみられ、この列車は現場回避、最後の上り列車だったものとみられます。
この他、和歌山市では、6866列車(16:22発)として出庫予定の6両編成もあり、6両4編成の数は、これで合致します。
1031+1035は、元々、土休日ダイヤで終日和歌山市留置の編成とみられます。これで、4両2編成の数も合致します。
ワンマン2両編成の数ですが、加太線4運用分、和歌山港線1運用分、多奈川線1運用分、6運用分がありますが、編成は8と多いため、13時頃の多奈川線取替運用として更に1本、そして、和歌山市方に予備車1本があった模様で、これで数が合致するかと思います。
予備車は、本来は高師浜線用の2232(工場夜景ラッピング)がいますので、当日はたまたま、検査等の関係で和歌山市留置、夜間に不定期回送(和歌山市→羽倉崎または住之江)の予定があったのでしょうか?
以上、このような感じで、下り線男里川橋梁沈下後の、尾崎-和歌山市間の車両となった可能性がありますね。
南海としては、幸いにも、6両4編成全てが、メンテナンスに負担の少ないVVVF車だった点が、暫定ダイヤの区間運転としては、好都合となった格好です。4両ではなく、6両編成だった点も、結果的には、輸送上の面では大きいですね。
7100系や9000系などだと、モーターのブラシ取替や、検査面などの影響もあったものとみられます。(※ワンマン車は元々7100系、2200系のため、仮に7100系や9000系だったとしても、和歌山支区の検車体制としては、普段から可能だったかもしれません。)
ということで、当方、10/25に、この和歌山方にいる車両の確認も併せ、現場、そして、輸送状況などを、独自調査として確認することにしました。
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トミーテック 鉄道コレクション 南海2000系後期型4両セット |
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トミーテック 鉄道コレクション 南海2000系南海・真田赤備え列車4両セット |
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【画像】樽井駅
樽井駅は、元々、3番線が難波方での折返しが可能な配線で、ダイヤでも、数えるほどですが、折返しの営業列車が存在します。但し、1/2番線は、折返しが出来ない配線のため、事故発生から3日後となれば、レールの表面が錆び付いてしまっています。
【画像】樽井駅
このような具合です。右画像、下り線自体は出発信号機ではない、単なる閉塞信号機(№409)のため、先の№413閉塞信号機と併せて、進行現示のままです。
南海の場合、こうした連動駅での信号機は、限定的かつ簡素な仕組みとなっており、他私鉄のように、普段、必要としない入換信号機などがありません。他の駅でも簡素な仕組みな場合が多く、これにより、ダイヤ乱れ時の折返し運転が簡単に出来ないというデメリットがあります。(この他、中継信号機がないなど)
南海線の運行管理システムは、指令の中央集中型となり、駅扱いは南海線の場合、殆どありません(※難波-橋本間の高野線は運行管理システムがないため、元々駅扱い)
これとよく似たのが阪神ですが、阪神は、連動駅の入換信号機、出発信号機が、非常時対応で結構設置されている場合が多く、ダイヤ乱れの際、生きている区間の折返し運転が比較的容易に行われています。この点、阪神と南海で、ダイヤ乱れ時の輸送の考え方に、決定的な違いがありますね。
【画像】樽井駅
普段は地元の人や、用のある人しか利用しない鄙びた駅も、今回ばかりは、お客さんが多くなっています。この時の代替バスは、ロマンス観光バスでした。
【画像】現場近く
菟砥橋(うとばし)が、男里川最下流の橋です。関西空港がよく見えます。
右画像、北側の男里川橋梁です。奥の下り線が沈下しているのが分かります。
【画像】男里川橋梁
兎に角、流されたゴミや草木のガラが多いです。水量がピークの際、私の足下も水面だった模様です。
【画像】男里川橋梁
9年半前に、上下線共、橋梁の再塗装が行われた模様です。
右画像、樽井10号踏切です。1967年の、男里川橋梁列車転覆事故による、お地蔵様が祀られています。これは、男里川の和歌山方で、難波方には踏切はありません(9号踏切が過去にあったが、この転覆事故により廃止)
【画像】男里川橋梁
上下線難波方方面です。上り線は、一見問題はないようですが、今後、安全性の確認次第では、単線運転の可能性にも影響するかもしれません。
【画像】
下り線では、12‰の下り坂です。下り線の一部で接触痕も。一部の脱線防止用レールも欠けています。
【画像】樽井11号踏切
次の踏切で、上り線を利用して折返しスペースとなっていますが、その際、列車が通らない11号踏切も、踏切システムの関係か、3~4分に渡って閉まってしまいますので、この間、渋滞が発生しました。
併せて、そのための停止位置も設置された模様です。最近の前面展望ビデオを見ても、ありませんでしたので。
【画像】樽井11号踏切
右画像、11Bとあるポイントは固定、11Aとみられる、対面のポイントで、助役による手回しと思われます。
左画像は尾崎駅、事故車が2番線で停車中。手回しをした助役が駅に戻るところ。
【画像】尾崎駅
改札口です。
【画像】尾崎駅
右画像、1番線から折返しで難波方に出発できる進路構成ですが、3→1/2へと、入換信号機での進路構成がありません。このため、代用手信号(ATSも確認扱い、または一時的に開放か?)となり、入換時に、もう一人の別の助役が乗務員室に乗り込み、緑色旗を振るという訳です。
【画像】尾崎駅
2番線に、事故車だった7185が留置です。スカートに衝撃による凹みがあります。
もしかすると、床下機器も接触した可能性がありますが、右画像、私が行ったとき、丁度、運輸安全委員会の方(安全ベスト着用の方)が調査中でした。有無は、何れ、その報告書に上がってくることでしょう。
【画像】折返し場面
3→1番線という要領でした。
(その2に続く)
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鉄道ピクトリアル 2017年 12 月号 [雑誌] |
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